読者になっていただいた夏樹さんにコメントをいただいて、改めて感謝したんじゃ。
あたしは毎日誰かに頼らなければ生きていけない。
昔看護師をしていたからといって、勝手に点滴をつけたり外したりもできんし、ご飯も手元に持ってきていただかないと食べられない。どうしてもしんどい時は、夜中だってナアスコールを押して助けてもらう。申し訳ない気持ちになるが、あまりにも苦しいときは仕方がない。助けを呼ぶ。
その時、走ってくる足音に涙が出る時がある。
その急いでいる歩幅と、ノックの素早さ。「どうしましたか?」の声と、近づいてくる息遣い。あたしの肩に手を置く時の強さや、手のひらの温かさ。
あたしの苦しみをわかろうとして寄り添い、全力で痛みを取ろうとしてくれて、「辛いねねえ。苦しいねえ。」と本気で共感しようとしての言葉が自然に出てくる。
その気持ちに触れるたびに、
「ありがたい。でもごめんね。」
と思う。
涙を流しているあたしを見て、
「さちこさん。大丈夫ですよ。私がずっと近くにおるけんねー。はい、ゆっくり呼吸して、手をぐっぱ。ぐっぱ。できる?」
あたしの手を握り、リハビリの真似事をしながら気持ちを落ち着けてくれて、何かしら褒めてくれる。
「さちこさんにもらったお手紙、何度も何度も読んでるんよ〜。私、悩んだらすぐ読み返すの。一番好きなフレーズは、『失敗してもええんじゃ。まあええか!死ぬわけやあないけん!」
あたしは、息も絶え絶えになりながら、つい顔がほころぶ。
笑顔は免疫力、自然治癒力を高める。
そこで、少し楽になる。
「そ!そうやで〜さちこさんの笑顔。可愛いなあ。私大好き。」
また微笑んでしまう。照れちゃう。
「手が温もってきたね。ちょっと痛み止めする?」
痛み止めをするかしないか。自分で決めさせてくれる。
「じゃ、ちょっとだけ」
と言って少しだけ打ってもらう。そして、体の緊張が解けて、睡魔がおそう。それでもナアスはそこにいる。あたしが眠るまでいてくれるの?
申し訳ないから寝たふりをする。寝息を立てる。
すると、外に出た腕を布団の中にそっと仕舞い込んでくれて、胸のあたりのお布団を優しくトントンと叩いて、本当に眠ったかどうかを確認し、おそらく愛情いっぱいにあたしの姿を見て、それから静かにカーテンを閉じ、そっと出ていく。
あたしは、その時、涙が止まらなかった。
弱っていく人が病院にはたくさん居る。
あたしレベルでいくと、死んでいくことが決まった人間も居る。
この病棟は、まさにそんな人たちが集まっている。
その人たちにたいし、平等に、優しく、厳しく、時間をかけて、寄り添っていく。
ありがたくてありがたくて。
今、コロナで医療従事者の皆さんは疲弊している。それはこちらからも見て取れる。それでも、近くにいる患者に対し、誠実に対応し続けてくれていることに、改めて感謝したい。
あたしなんか、いつコロっと逝ってもおかしくな状況で、ちゃんとありがとうを伝えなくちゃ死んでも死にきれんわ、と思ったけんね。
あたし、さっき、ちゃんと伝えたぞ
そしたら、ドクターに
「こちらこそありがとう。僕は、さちこさんのブログに救われとるよ❤️」
だって( ̄▽ ̄)
誰や?リークしたのん!!