来月は、「一途(いちず)」という音楽バンドを取り上げようと思う。
敏腕福井チームのリレー記事で、集中療養のあたしを支えてくれたその間、約1ヶ月じゃな。あたしは襲ってくる痛みをうまく中和させながら、一途バンドの研究をして過ごしてきた。このバンドの、13年間の膨大な情報の中で、あたしなりにじゃが、皆さんにお伝えしたいことがだんだん見えてきた。なかなか面白いぞ。その名も「一途論」!(なんかカッコええじゃろw)
論文というほどのものではないが、結論まで導き出すものにしていきたいのと、書きながら一途さんの軌跡を追い、書きながらその活動の意義などを考察し、書きながら素直に一途音楽に没頭してみたいと思う。
まず最初にお聴きいただきたいのがこの曲。
♪ ここにおいで
ダウンロードはこちらから→「ここにおいで」
この楽曲の説明はまた後にするとして、まずはこの歌詞とメロディを味わって欲しい。
そうじゃ。ネットで聴けない未発表の曲などもあるぞ。一途のマネージャーの方にご協力いただき、音源を送っていただいたんじゃが、名曲揃い。なぜにメジャーにならないのかが不思議じゃ。情熱大陸に出てもいいくらいの素材があるのに、誰も推薦しない。その理由がわからんから、あたしがそれをする。
まず、2008年の4月に結成されたこのバンドがなぜこんなにも長く続いていて、なぜファンの皆様からこんなにも愛されていて、なぜ作る楽曲が全てこんなにも感動できて、なぜ聴き終わるとこんなにも心が温かくなり、なぜ感謝すら覚えてしまうのだろうか。こんなにも。
その秘密をここで解き明かし、皆様にご紹介していくぞ。
それにしても、なぜそこまでしてゾンビさっちゃんはブログを書き続けるのかって?その理由は、一途の曲を聴いた人は誰しも。漏れなく、自分が持っている「生きる証」を探し始めることができるからじゃよ。
と、言い切ってしまうと、反発して「俺は騙されないもん」っとバリアーを張る人もおろう。
しかし、なぜだろう。一途さんの曲は、そのバリアーを破って浸潤してくる威力がある。それも、気づかないうちに入り込む。歌詞。メロディ。声。キャラクター。ライブでのMC。曲のストーリー。歌の中の主人公の思い。が、絡み合って人の心に優しく届く。
届いたものは、そこに留まり、人の細胞を変えていく。細胞が変わると行動も変わっていく。
実は、それを証明された方がおる。
あたしの、看護師の先輩でな。そのお方がこのバンドの大ファンで。しかも、くまさんとの不思議なご縁もあって。
その先輩が自分の人生をどう謳歌したのかを、今回オットの遺した手記をもとにまとめてみる。
先輩が思わぬ場所で、ナマ一途さんに出会い、その作り出す音楽を初めて聴いたのが、2012年3月18日。岡山の勝央の公民館じゃ。
でも、やはりご縁の糸は繋がっていたんじゃね。友達に連れられて、気晴らしに行ったイベントでたまたまやっていた一途のコンサート。それはそれは素晴らしく。先輩は、完全に一目惚れ。一途にゾッコンとなった。
詳しくは、物語の中盤に出てくるので、読み逃しのないようにお願いする。
さて、まずは簡単なプロローグから。
時は、1990年の春。あたしの娘はこの頃まだ生きていた。その先輩にも可愛がってもらっていた娘も、
「山里さんのは私が焼いてあげるけぇな」
と言って、のぶさんと一緒に、あたしたちの酒のつまみ(お好み焼きの一種)を嬉々として焼いてくれたものだ。
山里さんとは同じ病院に勤めてはいたが、働く棟が違った。しかし、遅番がなかったあたしたちは、タイミングも合って、よく家で飲んだ。
そこでよう出た話が、スペ患(スペシャルな患者)の話じゃ。
これがまあ面白くて!
こんな人が世の中にはおるんじゃなあと、その当時はあたしにとっては酒の肴くらいのものじゃったが、山里先輩の人生を大きく動かす人になろうとは、全く想像だにしていなかった。
さ、ここからは我がオットが福井のみぃちゃんに宛てて書いたメールの記述と、オットが遺した手記と、あたしの記憶を織り交ぜて物語を進めていこうと思う。
・・・・・・・・・
福井のみぃ様へ
至急、ご確認いただきたいことがございます。鈴木さんが例の日本一周バイク旅の途中、O県のO病院に、肝炎で入院されたことはございませんでしょうか。こちらでひょんなことから話題にのぼった人物像が、どう考えても鈴木さんなのです。
まず、それだけご確認いただければ幸いです。取り急ぎで失礼いたしました。
・・・・・・・・・
のぶ様へ
確認いたしました!間違いありません。西日本旅の途中で、O病院で1週間ほど入院したそうです。まさか、祥子さんがそこに!?
〜略〜
・・・・・・・・・
福井のみぃ様へ
唖然としております。ご縁というものはこんなに深く、強いものであること、震えるほどです。残念ながら当時のERは直接妻の担当ではなかったのです。
ですので直接関わっていたわけではございません。
しかし、強烈な患者さん(鈴木さん)がいたおかげで、自分の人生が変わったんだと語っておられた「先輩」の話が、妻の記憶から出てまいりました。その先輩は、鈴木さんと出会って看護師を辞め、なんと、医師に転進された山里さんです。我が家でよく呑んだくれていた、熱い人でした。
ズバリその先輩が、その病院に転がり込んだ鈴木さんの、担当看護師だったのです。
妻の記憶では、その事件の後、山里先輩が後輩たちに幾度となく説教するのですが、そのたびに出てきた主人公があまりにも鈴木さんだと(笑)
記憶の糸は、芋づる式に出てきます。
妻は、こうやって繋がっていく鈴木さんとのご縁が楽しくて仕方がないようです。ただ、当時は、山里さんがあまりにも鈴木さんのことを言うので、一部では「また出た。山里のスペ患!(スペシャルな患者)」と揶揄する人もいたそうです。
当時の山里さんの口癖は、
「まだまだ本気が足りない!」
「究極の思いやりが看護の仕事!」
「人を救けるために私たちは存在してるんじゃ!」
だったそうで、滅多やたらと熱い人だったようです。
彼女の当時の状況は、目の不自由な息子さんと二人暮らし。当時私たち夫婦は、家族ぐるみのおつきあいをしておりました。弱視の息子さんは中学一年生でしたので、一時期勉強は私が見ておりました。今はその息子さんは、全盲になってしまいましたが、現在県外で、特別支援の教員をしております。
実は昨日、その山里さんのご子息に、お母さんとのお話の中に「鈴木さんの話題」は出てこなかったかどうか、をお聞きしたくてお電話いたしました。妻は気になり始めると、すぐ行動に移すので、、夜分ではありましたが、、。
しかし、お聞きして驚きました。なんと、鈴木さんの話題が絶えたことはなかったそうです。
その夜、奥様の美奈さんと、旦那さんである和茂さんは鈴木さんの話題から、山里さんの話に移っていきました。
そして、
「そういえばお母さんの遺品に点字ファイルが残っていたけど、あれってまだ全部読めてないなあ。」
となり、奥様は、
「え!まだ読んでないの?」
となり、
「お義母さんのことを思い出させてもらったんだから、ちょっと読んでみましょうよ。」
となり、
押し入れにしまってあった遺品を出してきたのだそうです。
そしてその翌日のお話です。和茂さんの奥様、美奈さんから連絡が入りました。
「衝撃の事実が判明いたしましたので、先にそれをお伝えいたします。ちょっとこちらでは、その発見に二人して大騒ぎになっております。」
とのこと。
衝撃の事実と申しますのは、当時救命救急の看護師であった山里さん(実はすでに故人です)の人生を大きく変えた「大阪の鈴木さん」へ「宛てたお手紙が」宛先不明で戻ってきており、遺品の中にそれが残っていた、とのことでした。
残念ながら、手紙本体は残っておらず、ボランティアの方に点字化していただいたファイルの中に、タイトルが「大阪の鈴木さんへの手紙未達」とあったそうです。
鈴木さんの話をしていて、鈴木さんというキーワードが出てきたものですから、それは驚きますよね。
ご子息が、幾度となく聞かされて育った「鈴木さん」という存在。端折っていうと
「鈴木さんはお釈迦様の生まれ変わりであり、その方にあなたは視力よりも大切な、真心をいただいたのだから、自分を大切にして生きるように」
と山里さんが亡くなるまで、そう躾けられたそうです。ご子息にとっては鈴木さんは、神仏の類であったようです。
文章の中に、鈴木さんへの感謝の気持ちが溢れていて、お母さんの人生をいかにして転換させたかがよくわかるものとなっておりますので、全文、ご子息の了解を得て、あなた様と共有させていただきます。
ぜひ、鈴木さんにお伝えくださいませ。
奥様からのメールをそのまま貼り付けますね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続きは次回な^^
と、しょっぱなから「こんなことがあるんかいな。。」的な展開じゃろ。ほんまに、こんなんばっかりじゃよw
普段みなさんは、過去に起きたことを回収することはほぼないはずじゃ。一瞬出会った人がその後どうなったかなんてほとんど気にしていないし、気にしてもそれを辿ることもないし、辿っても逆に迷惑になるだろうし、だから忘れていく。もちろん、鈴木さんも忘れかけていたことじゃろうが、こうして発掘されて、表に出てきた。
ということ、それ自体が示唆しているものは何か。
この物語の根底に流れるもの。
つまり、今まで皆様が出会った人たちの人生を、これを読んでくださっている皆様自身が、知らぬ間に好転させている可能性があるってことじゃ。
つまり、気づかないうちに、誰かの人生を幸せな方向に導いているかもしれん。ちゅうことになる。
たまたま鈴木さんの場合は、それがあたしたちによって明るみに出ているだけで、実は普通に起きていることなんじゃ。
そこをまず分かった上で、後の物語を読んでもらえると嬉しいゾ。
次回に続く
〜ゾンビより愛を込めて〜