ゾンビさっちゃんのラブ全開!

もうすぐ70歳になる余命宣告を受けたがんサバイバー。 病室でブログを開設!

一途論 3 〜そのままでいて〜

「あんたはあんたのままでいい。」

そう伝え続けてくれた山里先輩はもういない。



あたしは、娘を喪い、自分を責め続け、電車に飛び込み死に切れず、精神が狂ってしまう経験をした。その後の不安定さは、筆舌に尽し難く。自分の一部が欠落してしまった感覚というものは、元に戻り得ない悲しみに打ちひしがれることになり、心が永遠に引き裂かれる感覚になる。



道路を走る車を見ても、娘が通った通学路を歩いていても、娘が使っていた椅子に触れるだけでも、あたしの中に溜まっている強い憤りが吹き出してきて、どうにも止まらなくなった。



しかし、人形劇の鈴木さんに飯田で出会い救われ、あたしの帰りを待っていてくれたのぶさんに救われ、看護師に復帰する時には先輩に救われた。



どん底を経験したあたしに対して、普段の態度も、かける言葉も、全く変わらなかったのは職場の中では先輩だけじゃった。

この人はまるで、そう、あたしのお姉ちゃんみたいだ、といつも思っていた。危なっかしいあたしをどこかで見守ってくれていた存在。性根の悪いあたしを厳しく指導しつつ、優しく包み込んでくれた人。



「おかえり。あんたがおらんと私はただの鬼になる。あんたが私を人間にしてくれるんやから、もうどこへもいかんといてや」

そう言われて抱きしめられた時は、人目を憚らず泣いた。

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あたしが復帰する事は、当然反対意見が多かった。自殺未遂。つまり、命を疎かにする阿呆に対し復職などは、もってのほか!というご意見が多数あった。

復職を願い出て1年半かかったのは、ちょっとここでは言えん理由があった。

そして、復職できたのは先輩の獅子奮迅の働きがあったからじゃった。

病院側の決定権を持つ方々が、全員OKしてくださったのは先輩の口添えがあったから。



「古川さんは、最愛の娘を失うという経験をし、それでもここに戻りたいということは、その経験を活かそうとしとるということです。患者さんの、もう後が無い気持ちとか、追い詰められた心とか、日々弱っていく心とかを、彼女は誰よりも察することができます。そんな患者さんたちに彼女は寄り添えます。右目が見えないことと、耳が聞こえないことが、看護のレベルを著しく低下させることはありません。今までの経験をかってやってください。尊い命を預かっている場所だからこそ、生きることを選んで帰ってくる人間に対し、私たちはそれを両手を広げて迎え入れる度量があるべきかと思います。」



という熱い言葉と、なんなら署名活動までする勢いだったと後から聞いたあたしは、感動で。

あたしみたいな女は、病院側も扱いづらいのはわかっておった。それでも、救える命があるならその命に向き合って、全力で救いたい。あたしがどれだけ役に立つかはわからんかったが、もう一度やると決めたんじゃ。



そしてもう一人、あたしには強〜い味方がおった。

娘のみぃちゃんじゃ。

彼女の言葉を思い出して、再決心した経緯もお伝えしよう。



実は、娘が病院まであたしを迎えにきてくれたことがあってのう。まだ仕事が終わらんけぇそこで待っとき、と待たせておいたんじゃ。ちょうどその時、とにかく家に帰りたがる患者さんがおって、その人病院が大嫌いでな。その日も徘徊しておった。

看護師たちを手こずらせる常習犯じゃw
まあ、可愛いおばちゃんじゃわ。

その時のことを娘はあたしに「よう覚えているんじゃよ〜」と言って何度か話してくれた。というか、褒めてくれた。

「お母ちゃんの声は、患者さんにとってはきっと天使の声なんじゃな。この前病院で待ってた時、わかった。」



「天使とは違うけ。わたしの声は、キツイよ( ̄▽ ̄)なんぼいうてもわからん人にはビシッとゆうちゃるけんね」



娘は、首を振って言った。



「帰る帰る帰るって泣いてたおばちゃんに、お母ちゃんは後ろから抱きしめてゆうとったじゃろ。」



おやま!あれを見られとったんかい!



「わたしが平田さんの娘になっちゃるけぇ、うちが娘になるけぇ、言いてえ事は全部わたしに言うてくれたらええんよ。おうちに帰るなぁ、治してからじゃよ。平田さん、一緒に治そ。な。」



娘は、胸を張って言った。

「おばちゃんが何回も頷きながらゆっくり戻って行ったのを見て、お母ちゃんの声の凄さに私、ほんまに感動したよ。」

声?

「お母ちゃんの声に、おばちゃんへの優しさがいっぱい入ってたもん」

優しさがいっぱい入っている声。

あたしの声。そうか。いっぱい入ってるのかあ。。



片目が見えなくなっても、片耳が聞こえなくなっても、あたしには声がある。心のままに発することができる声がある。

あたしには、ええところがまだ残っとる。娘に褒められた声が残っとる。

そう思ったら、できる。と思えたんじゃ。

さ、ここで登場。一途の曲。今回は、映像付きじゃ。

一途の曲の中で、この曲はあたしのベスト10に入る。



そのままでいて

www.youtube.com

 

これは、いわゆるいじめを扱った歌になる。何度聴いても涙が出てしまうが、

まずはお聴きくだされ。

曲のダウンロードはこちら

【そのままでいて】

作詞・作曲・編曲:一途

心許せる大好きな家族

何もかも受け入れて守ってくれる

だからこそ 1人で泣いてるなんて言えなかった

いじめられてるって言えなかった

傷は笑顔でひた隠し

みんなに好かれるためだけに

感情を捨て去ることを学んだ

「自分が変わらなきゃ」
「自分が合わせなきゃ」

小さな胸にしまいこんだあの日

消しても消えない過去だけど

時は過ぎすべてを許す私がいる

だからこそ

誰もが通る道にはしたくない

誰かが言ってあげてほしい

「あなたはそのままが一番いいんだよ」

苦しみも貴重なステップ

あなたが愛してくれたから

感情を認めてもいいと知った

「自分が伸びている」
「自分が喜んでる」

私に生まれる私への愛

大丈夫今度は私が

あなたを守って包んであげるから

もう大丈夫

今度はきっと大丈夫

いつまでもその手を握ってるから

お願いあなたはそのままでいて

そのままでいて

そのままで そのままで そのままで・・・

そのままで そのままで そのままでいて・・・

 

いじめられた経験は、胸の中に深い傷として残っていく。

それはなかなか消えないし、癒えない。でも、誰かの言葉や、誰かの愛で、その傷は温もりで少しずつ治癒するものじゃ。

この歌の主人公も、認め尽くしてくれる人に出会えたから、自分を開放することができた。本来の自分を表現することができるようになった。



どんなに凄惨な経験をしたとしても、それは未来永劫つづくことはない。どこかで、誰かが見ていてくれて、生きていれば助けてくれる。

助けてくれる場所もある。

命を存えさせてくれる存在が、この日本にはたくさんあるし、逃げ込む場所もたくさんある。


問題が起きたらそれを相談できる場所もたくさんある。

それを知っているのと知らないのとでは大きな違いが出てくる。



孤立する必要のない人が、孤独に戦い、心折れて、自らの命を絶つことのないようにと、この曲は生まれた。

しかし、、この曲を聴くと、明るい曲調なのに、どんどんどんどん胸に迫りきて、いつの間にやら祈るような気持ちになってくる。

ちなみに、一途の曲は、ほぼみっこちゃんが歌詞を書いている。

それも、人にインタビューをして、その人の人生の1ページをいただいて、そこから生まれた言葉を絹を織るようにして紡いでいる。そこが他の音楽バンドとは全く違うところじゃ。

誰かの人生を想像して書くものではないから、リアリティーがある。すべてが事実に基づいていて、誰一人として同じ人生はないから存在感が凄い。しかも、人類が存在するかぎり、永遠に書いていく事ができるビジネスモデル。素晴らしいやり方じゃと思う。

しかし一途の曲は、一人のための曲なのに、なぜこんなにも共感するのか。

それは、みっこちゃんがインタビューする相手に対し、共感から入ろうとしているからに間違いない。そうでなければ、こんな歌詞は書けんのじゃ。

相手の心に寄り添うことは、至難の技でのう。経験したことのないことを、想像しろって言われてもできないのと同じ。本当に難しい。それを、みっこちゃんはおそらく、大きな重圧の中、丁寧に伺いながら一言一言をメモし、一緒に涙しながら頷きながら、心の中に留めおく努力をしているはず。

その人の重荷を一緒に背負うくらいの覚悟がなければ、こんなことはできん。

しかも、聞いた言葉を歌詞にするなんて、相当賢くないとできん。



インタビューで出てくる言葉はおそらく、何万文字か。それを、たった400文字にしてしまう技よ。

そしてお兄ちゃんたちがつけるそのメロディーの巧みさ。さらに、それを編曲して、生で演奏して、歌って、踊って、、、、とまあ、驚愕の芸達者3人組。



嗚呼。いつかナマ一途を体験するのがあたしの夢じゃよ。

一途をナマで聴いた事がある方は読者の方におられますか?

よかったらその感想をコメント欄に書いていただければ嬉しいぞ。あ、書かなくても大丈夫じゃよ。思いは伝わるもんでな。

一途の動画を引き続き、いつでも観たいという方は、YouTubeでチャンネル登録をしてあげてくださいな。難しい場合は、ブラウザのお気に入りに入れておいて、疲れた時に聴いてみてくださいな。

もしくは、ダウンロードして、車でお聴きくださいね。

しつこいですが(笑)おすすめです。




〜ゾンビより、一途な愛を込めて〜



 

1zu.jp

 

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