ゾンビさっちゃんのラブ全開!

もうすぐ70歳になる余命宣告を受けたがんサバイバー。 病室でブログを開設!

【良本レビュー】「満月の夜、母を施設に置いて」 byさちこ

あたしの大切な家族であり、友人であり、鬼軍曹。ハル。

本気で叱ってくれるし、一緒に泣いてくれるし、痛みを分かりながらもあの手この手で励ましてくれる存在。

最近は、あたしのブログ記事を Kindleで出版するためのワードの設定とか、難しい手順などを上手に説明して発表しとる。

最初は、おっかなびっくりな感じであったが、今じゃもう伸び伸びと書いておる。見事じゃよハル。

ハルがこの病院に来てくれるのはいつも金曜日。たまに火曜日。火曜日は大体機嫌が悪い。あたしがどうしたん?と聞くのを待っているふしがある。もちろん、手招きして、横に座らせて、「はいどうぞ。」の目くばせをするあたし。

ハルも心得たもんで、自分が食べるためのスイーツと、自分が飲むためのカフェモカをすすりながら、溜まった毒を吐き出す。

くるくる変わる表情と、その端正な顔から出てくる言葉の激しさと、ブログでの真面目な猫っかぶりを見比べると、おかしくて仕方がない。可愛い。

話してスッキリしたら、じゃ、また来るね。

と言って、毎回、

「あ、忘れとった。これ、読んでー」

と言って、一冊の本を置いていく。姪っ子ハルからプレゼントされた本がすでに100冊を超える。(漫画も合わせて)

「これ、よかったけ、読むとええわ。」

と言いながら、さっさと帰っていく。今回は、この本じゃった。

 

藤川幸之助さんの

「満月の夜、母を施設に置いて」

これは泣けた。

作者の、母への情が滲み出ている。詩で表現しているせいか、短い言葉から噴出してくる破壊力は凄まじい。

最初ジャブからワンツー。隙をついてボディに入っていき、時折ストレートであたしを翻弄する。最後はテクニカル完全ノックアウト。

涙腺崩壊。体力すら奪うほどガツンと来た。


ベッドに縛られているあたしを自由にしてくれるのは、この頭脳があるからこそで、つまり想像力で旅ができる。そして、心があるから表現もできる。そしてあたしを見捨てずにいてくれる周りの人が居るから、生きることに積極的になれる。

作者のお母さんは認知症で、表現もできず、考えることもできず、周りの人の愛を受け入れて感謝することもできなくなってしまっている。作者は、その母親の姿を自分なりに少しずつ受け止めていく。

この本を読むと、作者の強い感謝と憤り、お母さんのありのままの哀しみが、同時にあたしを襲ってくるんじゃ。

「詩」の中にある真実。

「死」の中にある生命力。

「子」の中にある哀愁。

「志」の中にある使命感。

読み進めると、その内容の深さにとてつもなく感動する。自分と周りの気持ちに心が強制的に馳せられて、胸が苦しい。でも、なぜか爽やかな雰囲気で読み終えることができる。

それは、、2回読んで、気がついた。

絵が良いのだ。

最初、わからんかった。

読者の葛藤や苦しみをリセットしてくれる明るくて可愛い絵じゃったから、あまりにも自然すぎて気付くのが遅くなってしまった。

この本にこの絵を当てて編集された方も凄いが、松尾たいこさんという画家さんのセンスが素晴らしい。何気ない風景の切り取り方も、バランスのいい配置も、絶妙な配色も、全てがいい。

虫眼鏡で一部をフォーカスして見ても、全体を俯瞰して見ても、安定した訴求力を持っている絵はなかなかお目にかかれない。手描きとわかる部分を残しながら、まるでパソコンで調整したような正確さも作りつつ、松尾さんの頭の中でしか見えない風景を足して、この方だけのオリジナリティーを上げている。

楽し過ぎる。

詩を読んで深く感動し、絵を見て楽しく興奮する。

これは良本。

紙の本でしか味わえない楽しさを、この本は堪能できる。

気に入った箇所をパラパラと行ったり来たりしながら、いろんな角度から眺めつつ、自分の感情の変化や、心の落ち着きどころの探索や、共感したところをハルにどう伝えようかを考えたり、同じ場所を読んで何度も涙を流したり、じっくり読んで癒されたりでき、絵だけを探して見つけてそこに留まり、じっくり鑑賞することもできる。

電子書籍を今作ろうとしているが、読者の手で自由に遊べる紙の書籍をいつか作ってみたい、という願望も生まれてきた。

しかし、これはさすがに生きているうちに実現は不可能じゃろう。

いや、諦めではないぞ。いつか誰かに作ってもらえたら嬉しい( ´∀`)なんちゃって

紙の本にするのであれば、表紙も挿絵も、いつか松尾さんに描いていただきたい( ´∀`)なんちゃって(照)


いやいや、そんな大それたことを考えず、まずは今作りかけている電子書籍を形にすることが先決じゃの。うん。

そうそう。実は、電子書籍のイラストを描いてくれる人もなかなかの人物でのう。いずれ世に出る人じゃけ、楽しみで仕方がない。ほっこりさせつつ、作者の意図を汲み、物語に寄り添う力を持っている絵師。表紙絵ののぶさんと娘が並んで座っている構図が最高で、何度見ても泣ける。

まあ、どんな絵を描くかは、ハルの書く記事でチラリとご覧あれ。全部見たいかたは、ぜひ!電子書籍を読んでくだされ( ´∀`)よろしくの


しかし、ハルの記事。まだ上がってこない。現在の進捗は、 Kindle Pre Viewer(キンドル プレビューワー)というアプリの使い方をハルが必死にマスターしているところらしい。簡単そうなんじゃが、皆様にわかりやすく伝えるために、あらゆる失敗をして検証しているところだそうじゃ。

真面目一徹姪っ子ハル!がんばれハル!!あんたの努力が、明日の主婦を救うのじゃ!!

 

~ゾンビより愛を込めて~

 

 

さっちゃん脚本による「また会えたときに」

音声ドラマ化して、全編配信しております。↓


<YouTube で全話配信中>

youtu.be


<SoundCloud はこちらから>
ご希望のシーンからでも、タイトルをクリックして視聴できます。

また会えたときに【1話から順番に再生されます】 on SoundCloud


<Podcast はこちらから>

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